はじめに:なぜ犬はおむつを食べてしまうのか?
赤ちゃんが家族に加わり、犬と赤ちゃんが一緒に暮らす家庭では、様々な予期せぬトラブルが発生します。その中でも、特に飼い主を青ざめさせるのが、犬が使用済みのおむつを食べてしまうという事故です。
「なぜよりによって汚れたおむつを?」と疑問に思うかもしれませんが、犬にとっては、おむつは「赤ちゃんの排泄物の匂いがついた興味深いおもちゃ」であり、素材の紙やポリマーの感触も噛み応えがある魅力的なターゲットです。
しかし、おむつに含まれる高吸収性ポリマー(SAP)や、排泄物に含まれる雑菌、そして何より消化管の閉塞(詰まり)のリスクは、犬の命に関わる重大な危険性を伴います。
この記事では、犬がおむつを食べてしまった際の緊急の対処法、発生する危険性、そして二度と事故を起こさないための具体的な予防策について、徹底的に解説します。
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Ⅰ. 【緊急時】犬がおむつを食べてしまった時の対処法

もし愛犬がおむつを食べているのを発見したら、パニックにならず、落ち着いて以下の手順で対処してください。
ステップ 1:残りの物を直ちに回収し、食べた量を確認する
- まず、犬の口から残っているおむつを取り出し、犬がそれ以上食べないようにします。
- 次に、「いつ」「何を(使用済みか未使用か)」「どのくらいの量」を食べたかを正確に把握します。パッケージや残ったおむつから、食べた部分の大きさを推定しましょう。
ステップ 2:嘔吐はさせずに動物病院に連絡する(最重要)
- ⚠️ 自己判断で無理に嘔吐させないでください。
- おむつの素材である高吸収性ポリマー(SAP)は、胃の中で水分を吸って数十倍に膨らむ性質があります。
- 無理に吐かせようとすると、膨らんだおむつが食道に詰まり、さらに危険な状態になる可能性があります。
- 直ちに動物病院に連絡し、状況を伝えます。
- 「今、犬が赤ちゃんのおむつを〇〇の量(または〇〇の大きさの部分)食べてしまった」と伝え、指示を仰ぎましょう。
ステップ 3:病院での検査と処置
病院では、食べた量や時間に応じて、以下の処置が検討されます。
- 内視鏡による摘出: 食べてから間もない場合、胃の中で膨らむ前に内視鏡を使っておむつを取り出す処置が行われることがあります。
- 吐かせる処置(獣医師の判断): 獣医師は、おむつの種類や食べた量、時間、犬の状態を総合的に判断し、安全性が確保できる場合に限って吐かせる薬(催吐処置)を使用します。
- 経過観察と輸液: 少量を食べてしまった場合や、症状がない場合は、X線検査などで腸の動きを確認しながら、点滴(輸液)などで便として排泄させるのを待ちます。
ステップ 4:排泄物をチェックする
病院から帰宅後も、数日間は排泄物に変化がないかを注意深く観察します。
- 便にゼリー状のポリマーや、おむつの繊維が排出されているか確認します。
- 嘔吐、食欲不振、腹部の張り、元気消失といった症状が見られたら、すぐに再受診してください。これは、消化管が閉塞しているサインである可能性が高いです。
Ⅱ. 犬がおむつを食べてしまうことの重大な危険性
おむつを食べてしまうことが、なぜこれほど危険視されるのか、具体的なリスクを理解しておきましょう。
1. 🚨 消化管閉塞(腸閉塞)のリスク
これが最も危険な点です。
- 高吸収性ポリマー(SAP)の膨張: 使用済みのおむつには大量の水分が含まれており、特に犬の胃や腸内でさらに水分を吸い、大きく膨れ上がります。
- 結果: 膨らんだおむつが腸管の途中で詰まると、腸閉塞を引き起こします。腸閉塞は、重度の嘔吐や脱水、腸管の壊死を招き、緊急手術が必要となる、命に関わる状態です。
2. 化学物質による健康被害
- おむつに含まれる漂白剤、消臭剤、香料などの化学物質は、犬の胃腸を刺激し、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
- 微量のポリマー自体は無毒とされていますが、大量に摂取すれば上記の閉塞リスクが高まります。
3. 感染症や寄生虫のリスク
- 排泄物には、大腸菌などの細菌や、寄生虫の卵(特にトキソプラズマや回虫など)が含まれている可能性があります。
- 犬がこれを摂取することで、消化器系の感染症や寄生虫疾患を引き起こすリスクがあります。これは、免疫力が低い赤ちゃん自身への間接的なリスクにも繋がるため、衛生面で最悪の事態です。
Ⅲ. 二度と繰り返さない!具体的な予防策と環境整備

事故を防ぐための最も効果的な方法は、犬がおむつにアクセスできない環境を物理的に作ることです。
1. 🗑️ 蓋付きでロック機能のあるゴミ箱を使用する(最重要)
- おむつを捨てるゴミ箱は、犬の鼻先や口では簡単に開けられない構造のものを選びましょう。
- ペダル式: 犬がペダルを踏んで開けることができないように、重いものやロック機能付きのものを選ぶ。
- 二重ロック: 蓋を閉じたら、さらにロックができるタイプのゴミ箱が理想です。
- 設置場所の変更: ゴミ箱を洗面所やクローゼットの中など、犬が入れない場所に移動させましょう。
2. 🚼 オムツ替えの場所を隔離する
- オムツ替えは、犬を一時的に別の部屋やケージに入れるなど、隔離した状態で行いましょう。
- オムツ替えの最中に、犬が使用済みおむつを咥えて逃げ出す事故が最も多いため、交換中のおむつから目を離さないことが鉄則です。
- 交換に使用したタオルやシートも、すぐに洗濯カゴやゴミ箱に直行させましょう。
3. 🧼 衛生管理を徹底する
- におい対策: おむつを捨てるときは、ビニール袋や専用の袋にきっちり密閉してからゴミ箱に入れます。犬は匂いで対象物を見つけるため、匂いを断つことが最大の予防策になります。
- ゴミ箱の清掃: ゴミ箱の蓋や内側を定期的に消毒・清掃し、匂いが残らないようにしましょう。
4. 犬の「退屈」を解消する
- 犬がおむつを咥えてしまうのは、退屈や分離不安、または単に噛むものが欲しいためである場合が多いです。
- 対策: 丈夫な知育玩具やコングにフードを詰めるなど、おむつよりも魅力的な「噛むおもちゃ」や「遊び」を提供し、犬の欲求を満たしてあげましょう。
- 特に赤ちゃんのお世話中は、犬が暇になりがちです。その間に楽しめる遊びを用意しておきましょう。
Ⅳ. まとめ:油断せず、物理的な壁を作る
犬がおむつを食べてしまう事故は、命に関わる緊急事態です。
愛犬の命を守るため、そして家族の安全な生活を守るために、以下の最重要点を心に留めてください。
- 緊急時の対応: 食べたと分かったら、自己判断で吐かせず、すぐに動物病院に連絡し、食べた量と時間を正確に伝える。
- 予防の徹底: 「犬が絶対に開けられないゴミ箱」と「犬がアクセスできない設置場所」という、物理的な二重の壁を作ること。
赤ちゃんのお世話で忙しい日々ですが、愛犬の安全のために、ゴミ箱のロックと設置場所の確認を日々のルーティンとして徹底しましょう。


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